深夜、ふと目が覚めて台所に立つと、床が濡れている。シンクの下から水が染み出して、止まらない。時計は2時を回っていて、朝まで待てば床はどうなるか分からない——。
そんなとき、電話一本で30分で駆けつけてくれる水道屋さんがいたら、間違いなく神様に見えます。今日は、この水道屋さんの話から、「助かる」という価値の強さと、その罠について書きます。
困ったときに、すぐ来てくれる。この水道屋さんは、機能的価値——お客様の心の声で言えば「助かる」——の権化です。
機能的価値は、すべての価値の土台です。ワークマンが一般のお客様に広がったのも、「4,000円台で雨を完全に防ぐ」というスペックと価格の力でした。役に立つこと。これが弱いと、他のどんな価値も積み上がりません。機能は、いわば購買の入場券です。
ところが、機能的価値には難しさがあります。真似されやすいことです。
深夜対応で評判になれば、「うちも24時間対応します」という競合が現れる。売れていると知られたら、すぐに追随されて、行き着く先は価格競争です。「50%引き・赤字覚悟」なら一時的には伸びますが、経営としては続きません。
技術的に研鑽して発見したものなら、真似されにくい。でも、多くの「助かる」は、資本と覚悟があれば明日から真似できてしまいます。機能だけで戦い続けるのは、それだけ難しいということです。
では、どうするか。「助かる」を捨てる必要は、まったくありません。むしろ逆で、「助かる」は関係の入り口として最強です。
深夜に駆けつけてもらった経験は、強く記憶に残ります。その体験が「今度何かあったら、あの人に頼もう」に変わったとき、価値は機能の層から、次の層へ上がり始めています。「助かる→好き→試したい→誇らしい」は、お客様との関係が深まっていく階段です。層が積み重なるほど、その商売は「なくてはならないもの」になっていきます。
30分で駆けつける力を磨くことと、駆けつけた先で信頼を積むこと。両方そろって、真似されない商売になります。
入場券で入ってもらった後、どんな席に案内するか。そこからが本番です。
業種と6つの質問に答えるだけ。