価値
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価値のつくり方

接触回数が、価値を増幅する

2026.07.29 | 森谷 盛広

なぜ人は、よく会う人を好きになるのでしょうか。

特別なことをしていなくても、顔を合わせる回数が多い相手には、いつのまにか親しみが湧く。逆に、どれだけ好きだった相手でも、会わなくなると気持ちは静かに薄れていく。商品とお客様の関係も、まったく同じです。

「好き」は、貯金できない

先日のセミナーで、価値の4つの層——機能的価値「助かる」、情緒的価値「好き」、認識的価値「試したい」「語りたい」、社会的価値「誇らしい」——の話をしました。その終盤で、正直な話もしています。

経営は、本当に難しい。機能はすぐ乗り替えられ、「好き」も接触回数が減ると薄れていく。だから毎年、手を変え品を変え、企画とプロモーションを続けるしかない——。

一度作った「好き」が永久に残るなら、広告は要りません。でも「好き」は貯金できない。会う回数が減れば、目減りしていきます。「あの人に切ってほしい」という美容室の指名も、通う回数の中で育った情緒的価値です。だから価値づくりの半分は、接触の設計なんです。

数字だけの関係は、機能で終わる

セミナーの質疑で、タクシーやエレベーターの広告面を扱う会社の方から質問がありました。「この価値は、広告主に感じてもらうのか、広告を見る人に感じてもらうのか」と。

広告業は、どうしても機能的価値——数字と結果——に行きがちです。でも数字だけの付き合いは、数字が悪くなった瞬間に終わります。私がお答えしたのは、こうです。新しい分析の仕方を出す。メディアをミックスして提案する。そうやって「試したい」を作って、接触回数を増やしていく。そのうえで「数字は残ったし、やる意味もあったよね」という経営者の想いに応える部分で気持ちが動くと、「御社に任せます」になる。社名を聞く機会が増えれば、信頼で仕事が来るようになるんです。

会う回数が、機能の関係を情緒の関係に変えていく。これは広告業に限らず、どの商売でも同じだと思います。

「新しさ」は、会いに行く口実

とはいえ、用もないのに接触だけ増やせば、ただの売り込みです。だから「試したい」の補給が要る。

同じことをしていると、飽きられます。年に1回はキャンペーンを打つ。新しい提案を持っていく。新しさそのものの価値と同じくらい、「新しさがあるから、また会える」という口実の価値が大きいんです。接触回数は、根性ではなく企画で増やすもの。ここが、広告とプロモーションの出番です。

順番を整理すると、こうなります。新しさを作る。新しさが接触の口実になる。接触が重なる。重なった回数が、「助かる」を「好き」に変えていく。企画は話題づくりのためだけにあるのではなく、会う回数を増やすための装置でもあるんです。

持ち帰り

あなたの会社は、お客様と年に何回、会えていますか。

森谷 盛広
森谷 盛広

合同会社アルチ 代表/CMディレクター25年。ものづくり企業のブランドコミュニケーションを数多く手がける。ブランド・マネージャー認定協会トレーナー、武蔵野大学アジアAI研究所 客席研究員。

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