台所の引き出しの奥に、一度しか使われていない便利グッズが眠っています。買った日には「よくできてるなあ」と感心したはずの道具です。性能は、今日も落ちていません。ただ、誰にも思い出されていないだけ。
先日の価値セミナーで、いちばん土台に置いた話がこれです。どんなに便利でも、誰一人「いい」と思わなければ、それはただの物体です。
そもそも価値とは何か。私はこう定義しています。
ひとりが「これは、自分のためになる」と感じること。みんなが「これは、みんなのためになる」と感じること。
価値はモノに宿らず、人が感じた瞬間に生まれます。つまり、価値は商品の中をいくら探しても見つかりません。お客様の心の中で起きる現象だからです。抽象的で感覚的な話に聞こえるかもしれませんが、ここを飛ばしてしまうと、品質を上げても、値段を下げても、空振りが続きます。動かすべき場所が、商品の側ではないからです。
セミナー冒頭で挙げた「あるある」も、根っこは同じです。品質には自信がある。なのに、選ばれない。SNSを頑張っているのに、話題にならない。原因は商品ではなく、価値がまだ誰の心にも生まれていないことにあります。
セミナーで行ったワークを、ここでもひとつ。ご自身の商品・サービスを思い浮かべてください。お客様はそれを使った瞬間、心の中で何とつぶやいているでしょうか。
「助かる」なら、機能的価値。「好き」なら、情緒的価値。「試したい」「語りたい」なら、認識的価値。「誇らしい」なら、社会的価値。
どれかひとつでも聞こえるなら、価値は生まれています。もし、どのつぶやきも思い浮かばないなら——それは商品がダメだという意味ではありません。価値が「感じられる形」になっていないだけです。質疑でも触れましたが、ニーズのないところに商品を提供しても、ただのモノになってしまいます。
「感じられなければ、価値は存在しない」。突き放した言葉に聞こえますが、逆さに読めば希望です。商品を作り直さなくても、感じられる形に変えれば、価値は生まれる。そして、価値を感じられる形にすること——それがマーケティングであり、広告の仕事です。
ワークの答えは、そのまま設計図になります。聞こえたつぶやきを起点に、感じられる形を整えていけばいい。つぶやきがまだ聞こえないなら、まず「誰に、どう感じてほしいのか」から決めればいいのです。
あなたの商品は今日、誰の中で価値になりましたか。
業種と6つの質問に答えるだけ。