「50%引き。赤字覚悟」。あれは価値ではありません。体力の切り売りです。
値下げをすれば、たしかに売れます。注文は動くし、数字は伸びる。一時的には。でも、経営としては続きません。今日はこの「一時的には」の罠について書きます。
アルチでは、価値を4つの層で捉えています。機能的価値「助かる」、情緒的価値「好き」、認識的価値「試したい」「語りたい」、社会的価値「誇らしい」。
価格の勝負は、このうち機能的価値の土俵の中の話です。「同じ性能なら、安いほうが助かる」——それだけの理屈で選ばれている。
そして機能的価値には、はっきりした弱点があります。最も真似されやすいことです。売れていると知られたら、競合はすぐに追随してきます。こちらが下げれば、向こうも下げる。気がつけば、体力の削り合いだけが残る。値下げで作った売上は、もっと安い誰かが現れた瞬間に消えます。
では、出口はどこにあるのか。ひとつ上の層——情緒的価値です。
機能は比較されますが、「好き」は比較されません。「あの人に切ってほしい」と美容室を指名するお客様は、隣の店の価格表を見ていません。
会話、安心感、居心地。人間臭い部分の価値は、価格の外側にあります。ここで結ばれたお客様は、競合が50%引きを始めても、簡単には動きません。値下げ合戦から抜け出す道は、値札の数字ではなく、この層にあります。
誤解のないように言うと、価格設定の見直しや、戦略的なお試し価格まで否定しているわけではありません。問題は、値下げしか打ち手がない状態です。
その状態に陥っていないか、確かめる問いがあります。
「好き」と言ってくれる人の顔が、浮かびますか。
浮かぶなら、その人たちがなぜ好きでいてくれるのかを掘る。そこに、値下げに頼らない訴求の種があります。浮かばないなら、価格の前にやることがあります。お客様との間に、比較されない関係をひとつも作れていないということだからです。
値札をいじるのは、いつでもできます。順番として、先にやるべきは、値札の外で選ばれる理由づくりです。
業種と6つの質問に答えるだけ。