行きつけの美容師さんを、誰かにけなされたことはありますか。
「あの店、たいしたことなくない?」と言われた瞬間の、あのムッとする感じ。自分がけなされたわけでもないのに、なぜか腹が立つ。今日は、あの「ムッ」の正体の話です。
あのムッとする気持ちが、まさに情緒的価値です。お客様の心の声で言えば、「好き」。
あなたがその美容師さんに通っているのは、技術の点数表を見比べた結果ではないはずです。会話。安心感。居心地。「あの人に切ってほしい」という気持ちは、そういう人間臭い部分でできています。だから、けなされると、自分の選択や自分の一部を否定されたように感じる。あの怒りは、価値がそこに生まれている証拠です。
技術のうまい下手は、たしかにあります。でも、技術の優劣は比べられてしまう価値でもあります。もっとうまい人、もっと安い店が現れたら、乗り換える理由になってしまう。
一方で、「好き」は比較されません。機能は相見積もりが取れますが、好きに相見積もりはないんです。「あの人に切ってほしい」の代わりは、どこにもいない。
これが「指名」の正体だと思います。指名料は技術料ではなく、比べられない関係への対価です。
「値下げでしか、注文が動かない」。そんな悩みをよく聞きます。品質には自信があるのに、選ばれない。
そういうとき、足りないのは機能ではなく、「好き」のほうかもしれません。機能で戦っている限り、比較され続けます。比較される限り、最後は価格の話になります。価格競争からの出口は、ほとんどの場合、情緒的価値の層にあります。
そして、これは大企業だけの話ではありません。会話、安心感、居心地——こういう価値は、むしろ顔の見える商売のほうが作りやすい。大企業でなくても、この価値は作れます。
あなたの商売に、「けなされるとムッとしてくれる人」は何人いるでしょうか。
業種と6つの質問に答えるだけ。